レストランのサービス用語【組織・設備・歴史】

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サービステクニック
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4月に入り新しくサービスマンになった人、新入社員が入ってきて先輩になった人。いろんな人がいると思います。
そんな中で新しくサービスマンになった人は、いざ現場に入ると何が何だかわからないでしょうし、先輩になった人は後輩からの何気ない質問に「あれ…?そういえば知らないな…」と思うこともあると思います。

とは言え、先輩に聞きまくれば「いい加減自分で調べろ」と言われてしまうし、先輩は「こんな基本的なこと今さら上司に聞けないよな…」と思ってしまうもの。

なので、今回はサービスマンの基本の“き”を書いていこうと思います。
別にテクニックが書いてあるわけではありません。主に知識ベースのことが書いてあります。

例えば、
・プルミエ・メートル・ドテルは何する人?
・オーダー伝票ってフランス語でなんて言うの?
・シルバーメンテナンスの基本とは?
・セルヴィエット、リトー、トーションの違い

…etc

みたいなことが書いてあります。
自粛期間中に少しでもあなたのレベルアップのお手伝いが出来れば嬉しいです。

●ブリガード・ド・レストラン

レストランサービスの組織図です。
各々に役職名があり、役割があります。

・ディレクトゥール…全体の運営管理総責任者。支配人

・プルミエ・メートル・ドテル…ディレクトゥールの補佐を行い、サービス部門の責任者。サービス全体のマネイジメント。最近のレストランで「プルミエ~」って就いている人はほとんどいないはず…

・メートル・ドテル…複数のテーブルを複合した範囲の責任者。ゲストのオーダーテイクをしたり、実際にサービスを主だって行う人。場合によっては調理の一部を行う。意味は「ホテルの主人」

・シェフ・ド・ラン…複数のテーブルのチーフ。テーブルサービスを中心に行い、メートル・ドテルを補佐。コミ・ド・ランへの指示が主な仕事。

・コミ・ド・ラン…シェフ・ド・ランの補佐。サービスが円滑に回るように下準備が主な仕事。キッチンとの橋渡し的存在。

・シェフ・ソムリエ…ワインの仕入れ、カーヴの管理、リストの整理等、ワインに関わる全ての仕事の責任者。

・ソムリエ…シェフ・ソムリエの業務、ワインのサービスの補佐。コミ・ソムリエへの指示

・コミ・ソムリエ…ソムリエのサービスの補助。カーヴと客席のつなぎ役。グラス、デキャンタ―などの仕込みが仕事。

まぁ、ここまで厳密に分かれているお店も珍しいし、そもそもそれだけの人材がいるお店が少ないですし。
でも、現実にこれだけの役職があることは知っておいて損は無いです。

●ダイニングの設備

*ダイニングにあるサービスに必要不可欠な設備

・コンソール…卓上の什器。カトラリーやその他サービスに必要な備品が準備してある。

・ゲリドン…客席の前に設置して、料理の切り分けなどを行う。車輪がついている物もある。

・ヴォワチュール…保温ドームのついたロティ用のワゴン。

・シャリオ…ホール内で使用する車輪付きのワゴン。チーズ、デザート、食後酒、お茶菓子等様々なものがセットされる。

*リネン類

・ナップ(ナプロン)…テーブルクロス。トップクロスとも呼ばれる。テーブルに欠ける作業をナパージュという

・スーナップ(モルトン)…アンダークロスとも呼ぶ。ナプロンの下に敷く別の厚手のクロス。スーはフランス語で「下」という意味。スーシェフで、シェフの下=副料理長。
スーナップの目的は消音、触り心地、吸水等

・セルヴィエット…お客様が食事中に使うナプキン。目的によってサイズが違うものもあるが、現在では食事を通じて同じものを使う場合が多い。

・リトー…サービスマンがサービスに使う用のナプキン。主に客席で使用する。

・トーション…営業準備や、カトラリーを拭くのに使うナプキン。客前で使うことはほぼない。

*銀器

・ステンレス…鉄にクロムを添加し耐食性を強化したもので、さび付きにくい。

・洋白(ニッケルシルバー)…銅、ニッケル、亜鉛の合金。耐食性に富む。銀に似ている。

・金…最も安定性が高く、腐食したり、錆びたりしない。

・銀…高度が高い。殺菌性がある

◆メンテナンス

ターニッシュ…空気中の硫化水素、硫黄によって変色する作用。銀や洋白がどんどん茶色く黒ずむ。中性洗剤では落ちず、クリーナーが必要。銅の変色は酢と塩で磨くときれいにある。

●異なるサービスのスタイル

・フランス式サービス…サービスがクーヴェール(とりわけ用の銀器)を添えた料理をお客様の左側に出し、お客様自身が自分の皿に取り分けるスタイル

長所…お客様自身が好みの量を取り分けることが出来る。サービスの人数が少なくて済むこともある。

短所…料理を取り分けるのが不慣れなお客様もいる為、時間がかかる。料理が冷める。均等に取り分ける事が出来ない。

現在ではこのスタイルでサービスを行うレストランは無い。パンやミニャルディーズなど部分的に行うこともある。

・イギリス式サービス…サービスがクーヴェールを持ち、料理を銀盆からお客様の皿にとりわけ、盛り付けるスタイル。

長所…スピーディーで効率的なサービスを行うことが出来る。料理は均一に盛ることが出来て、サービスマンの動きもエレガントに見せることが出来る。

短所…サービスマンのレベルによって差が出る。崩れやすい料理などは不向き。

・ロシア式サービス…サービスする料理をお客様の前でプレゼンテーション。その後、お客様の目の前でデクパージュやフランバージュを行う。

長所…演出効果が高く、細かい要望に応えることが出来る。厨房作業の軽減化。っスタッフのモチベーションの維持にもつながる。

短所…レベルの高いサービスマンがチームで必要。サービスを行う為の備品の管理、メンテナンスなどが必要。お客様との会話・距離などは素養が必要。

・クロッシュ式サービス…厨房で盛り付け完成された料理を、お客様のテーブルに運びサーブする。

長所…クロッシュ(ディッシュカバー)を用いるとお客様の期待も高まり、演出効果が高まる。料理の温度が冷める事がない。経験の少ないサービスマンでもリスクが少ない。

短所…お客様とのコミュニケーションが希薄になる。特別感が出にくい。

●サービスにおける注意点

◆プロトコール(基本原則)

・男性客、女性客は交互に座る。
・ゲスト・ホストが決まったらサービスの順番に気を付ける。ホストが最後
・退席するまでその順番を守る

◆留意点
・お客様が会話しているところを間に入って割り込むことはしない
・グラス類のサービスの時はステム(脚)を持ち、プラトー(トレイ)を使いサーブする
・料理はお客様の左側から左手でサーブする(席の配置による)
・皿を下げる時は、右側から右手で下げる(席の配置による)
・皿を下げる時はテーブルの全員が終わってから下げる
・飲み物を料理に合わせてサーブしている場合、飲み物は必ず料理が来る前にサービスする(テーブルの上に必ず飲み物がある状態にする)
・クーヴェールのセットの際は必ずサービストレイを使って行う
・ホール内での動きは余計な音を立てない。お客様に“風”を感じさせてはいけない

◆料理をキッチンに取りに行く…その前に確認すべきこと
・テーブルに次の料理のクーヴェールがセットされているか?
・飲み物(ワイン等)がサーブされているか?
・ゲリドンが必要な場合、ゲリドンの準備は出来ているか?

●伝票
サービス、キッチン、キャッシャーをつなぐコミュニケーションツール。最近ではデジタル化しているところもあるが、伝票の方が確実だったりもする。

◆伝票の種類
・Bons de Commande…最初の料理注文伝票

・Bons de Cave…飲料伝票

・Bons de suite…追加伝票

・Bons de Retour…返品・差し替え伝票

・Bons de Bis ou Ter…同一テーブルで複数伝票が必要な時(個別会計など)

●歴史

*正式なフランス語で入るアクサンなどは便宜上省いています

Entremetsアントルメ…一昔のサービスマンは必ず使う言葉。今ではhors d’oeuvreオードヴル(前菜)やデザートと同じような使い方がされる。本来の意味は中世で料理(Mets)と料理の間(Entreアントル)に開かれる余興のこと。
中世フランスの長い食事では、料理と料理の間にとても時間がかかったのでその間、ゲストを楽しませるために、音楽、踊りなどがあった。

Entereeアントレ…入口の意味。現在では前菜のことを指す。しかし、入口の意味ではあるが、第一皿目を指すわけでは無い。

Hors d’oeuvreオードヴル…食事の初めに提供する料理。Hors(外)oeuvre(主菜)の意味。前菜。昔の料理の中では主菜の外側に置く料理として、配置のことを表す。現代ではアントレと同じ意味。

Sur-toutシュルトゥ…17世紀に食卓の上で目を楽しませる為に、食卓用装飾が登場する。金・銀・陶器などの耐久素材を使用した物、砂糖細工、ラードなどを使ったその場限りの物など様々なものが登場。現在でもテーブルの上にデコレーションするのはシュルトゥから来ている

フォークの起源…15世紀にイタリアからアンリ二世に嫁いだ、カトリーヌ・メディチがフランスに持ち込んだとされています。その時のフォークのプロング(先端部分の分かれているところ)は二本。17世紀までは一般市民に普及することはなく、王室限定の物だった。
18世紀から現代のように湾曲し、プロングが4本のフォークが登場。

レストランの誕生…1789年フランス革命以降、貴族や主人たちを失った料理人やメートルドテルによって多くのレストランが誕生。パリ市内の人口60万人に高級レストランと居酒屋が4300軒以上営業開始。Restaurantは「Restrerレストレー=修復する」が語源。疲れた心身をいやす場所として発展。

ロシア式サービス…19世紀に入るまでは、複数の料理が同時に何回もサービスされていた。1810年ロシアのクラキンヌ王子がパリ近郊のクリシーで、一度に一種類の料理のみを出す新しい給仕方法を考案。クラキンヌ王子に敬意を表して「ロシア式サービス」と命名。
厨房で大皿に盛られた料理をゲリドンの上で切り分け、盛り付けサーブする。そうすることで全ての会食者が同時に、同じ料理を平等に食べられるようになった。

ヌーヴェルキュイジーヌと皿盛りサービス…1968年五月革命は食文化にも影響を与えた。それまではゲストに提供する料理は全てサービスの仕事だったが、ここにきてシェフ達が皿の上に「描く」ことを始める。ポール・ボキューズ、ミッシェル・ゲラール。アラン・シャペル・トロワグロ兄弟などが次々と新しい料理を発表。京都・知花(日本料理)での食事の経験から始めた、少量多皿のムニュ・デギュスタシオンが評価を受け始める。より軽く、色彩豊かな料理が増えていき、現在に至る。

●おわりに

基本の“き”というよりは、最近はこういうことを知らなくても全く問題ないし、普通にサービスマンが出来ます。でも、知っておくことで役に立ったり、なんかしらで使うチャンスが巡ってきたり…
覚えなくても良いですけど、頭の片隅に入れておいてくれると嬉しいです。

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